本群落は、新見市の西部、広島県との県境付近にある標高約550mの鯉ヶ窪池の周辺に広がる湿原内にあります。この湿原の平面は鯉の形をしており、常に水湿を保ち、土地の人々が「沢っ田」と呼ぶ泥沼地です。この湿原には、オグラセンノウ・ビッチュウフウロなど隔離分布を示す希少植物や、寒地性植物のリュウキンカ・エゾシロネなどのほか、わが国固有の植物アギスミレ・サワオグルマ・サギソウ・スイランなどが分布しており、植物群落の宝庫です。季節によりそれぞれの植物が美しい花を競い合い「西の尾瀬」ともいわれます。西日本の代表的な湿生植物群落として、学術上高い価値があります。