遍照院は、真言宗の伽藍で、寺伝によると、寛和元(985)年
三重塔は、従来、永享年間(1429~41)の再建と伝えられていましたが、昭和41~42年にかけて行われた解体修理の際、応永23(1416)年の再建墨書が発見され、室町時代前期の再建であったことが判明しました。
この塔は、方三間、総高約21m、本瓦葺で屋根の逓減が整然となされていて屋上に青銅製の相輪をたてています。柱は総円柱で、軒は各層とも二軒繁垂木、組物は和様の三手先となっており、各重とも中央間に板唐戸、脇間に連子窓を備えています。また、初重の縁には高欄はついていませんが、二・三重は組高欄としています。
木鼻の絵様、板彫式蟇股の意匠などに、室町時代前期の建築様式の特色がよくうかがわれ、均衡のとれたその形態は塔としての品位を示し、端正で美しく、国内有数の三重塔と言えます。