木造平屋建ての洋風建築の建物で、中央部分と、そこから東西に延びる両翼部分から成る建物です。
中央部分には正面に玄関、その奥に八角形の展示室(旧遊戯室)があります。両翼部分は北側に開放廊下が通り、南面に収蔵室・作業室(いずれも旧保育室)が配置されています。
この建物の最大の特徴は、玄関を入ってその奥にある八角形の平面をした展示室に表れています。内部に支柱を使わず広い空間を確保することは、当時としては斬新な試みであり、幼児教育実践の場としての機能性を満たしたことは、高く評価されています。また、こうした様式をとどめる園舎は、この建物が現存する唯一のものといわれており、建築様式からも特徴あるものになっています。
内部の意匠について、天井は中央部が折り上げになった花弁状になっています。そこから八角形の平面の形に沿って放射状に大きく8分割され、さらにそれぞれが2つに分けられています。これらに巧みに板が張られていることも含め、非常に特色のあるものになっています。
この他にも、中央部分の屋根が、日本瓦葺きの屋根の頂部に金属板葺きの屋根が乗る2段構成になっている点や、正面南面に三角形の屋根が付いていたり、背面北側は屋根が放射状に広がっていたりするなど、変化に富んだ屋根構造をしている点も、この建物の大きな特徴の一つになっています。
外壁は下から縦板張り、横板張り、白漆喰塗の構成で、しっかりとした分節がなされ、引き締まった意匠になっています。また、正面玄関や開放廊下にアーチが用いられることによって、園舎としての柔らかみが醸し出されています。さらに、正面玄関の上には、巾着をかたどったユニークな棟飾りや桜の花の文様が置かれるなど、園舎として子どもたちに親しまれるような工夫も凝らされています。