井上家住宅は、倉敷川畔の重要伝統的建造物群保存地区の中でも代表的な大型の町屋の一つで、古くから倉敷の中心通りである本町通り(往還)に面して建っています。 小屋組の登のぼり梁ばり形式で束つかを併用しているなど、非常に古いかたちを採用しています。また、南面二階外壁の7つの倉敷窓には火災に備えて土扉が付いています。倉敷では少なくとも江戸時代後半には大火が無く、こうした古い町屋の形式が残っているのは井上家だけとなっています。 2012~2022年まで全解体して保存修理を行っており、今回の修理で発見された墨書から、主屋は享保6(1721)年に上棟されたことがわかり、倉敷美観地区内では最古の町屋であることが判明しました。