「正月」は、もともと歳神様を家に迎える行事のことでした。その迎えをする準備として、12月半ばごろから煤払いをしたり、門松、鏡餅、しめ飾り等を準備していました。門松は山から下りてくる歳神様を家に案内するための依代といわれ、1月15日の「小正月」まで飾る例が多くみられます。なお、元日から7日までを「大正月」とか「松の内」といいます。一般的な正月行事としては、元日に家で新年のお祝いである、おせち料理・おとそ・雑煮・年賀状・初詣などをおこないます。また、その他にも、初夢占いや書き初めなどもおこないます。小正月をもって「事じまい」として、門松やしめ縄や書き初めを焚き上げます。それをトンドといい、現在も行っているところもあります。
トンドとはドンド、左義長などといわれることもあります。一例として、高梁市のトンド祭りは、水野勝成公が福山藩主になった時、吉備の住民が藩主の無病息災を祈って、元禄5年(1692年)に行われ、水野公感激し喜んだことに始まるといわれています。
トンド祭りの1月15日は、午前8時から準備にかかり、午前10時に出発します。約40人の青年、成人がトンドを担ぎ、トンドを結わえた縄を子ども達が引っ張ってゆきます。担ぎ手は「ワッショイ」「ワッショイ」と呼吸を合わせて市中を練り歩き、家内安全の願いを込めたトンドはクライマックスを迎えます。
午後4時からトンド焼きに移り、各戸から大人や子どもたちが棚飾りや、青竹に挟んだ餅を持ち寄って燃やしていきます。火が付くと書初めの書を焼き、その灰が高く上がるほど字が上手になると言われています。
また、トンドのおき火で焼いた餅は家に持ち帰って神々に供え、家族みんなでいただきます。