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二万大塚古墳にまおおつかこふん

 二万大塚古墳は、真備町を東西に貫流する小田川に南から流れ込む小支流二万谷川が形成した谷の東岸に位置しています。
 平成13(2001)年から平成16(2004)年にかけて、岡山大学考古学研究室による実態解明のための発掘調査が行われました。
 調査の結果、全長38mの前方後円墳で、北側の括れ部には造り出しを持つことも確認されました。ここからは人物埴輪、家形埴輪や多数の円筒埴輪さらに須恵器が整然と並べられ祭壇状施設となっていたことが明らかになり、この時期の葬送祭祀の様相を考える上で貴重な資料となりました。
 埋葬主体としては後円部に南南西に開口する横穴式石室を持つことが確認され、石室は両袖式で全長9.1m、玄室の長さは4.7m、幅は奥壁で2.5mを測り、比較的小降りの石材を5~7段に積んでいました。
 石室から須恵器、土師器、鉄器、馬具のほか装身具として耳環、玉類が出土しています。須恵器の時期は6世紀中頃から6世紀後半までの幅があり、数度の追葬が行われていたと考えられています。
 以上のように岡山大学による発掘調査によって、二万大塚古墳は高梁川西岸で最終段階の唯一前方後円墳というこれまでの評価だけではなく、横穴式石室を持つ前方後円墳では吉備で最も古い段階の古墳であることが判明しました。これによって、前方後円墳で横穴式石室を持っている総社市のこうもり塚古墳などとあわせて整理・研究が進めば、当時の首長間の関係がよりいっそう明確になってくることが期待されます。

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